「コスパ」という言葉が日常的に多用されるようになったのはいつ頃からなのでしょう。
コスパとはご存知コストパフォーマンスの略語。コストパフォーマンスとは、コスト(費用)とパフォーマンス(効果)を対比させた度合いです。
「こちらのフルーツたっぷりパンケーキ、ドリンク付でなんと890円!コスパ最高!」
「こちらの名物ラーメンはトッピング全種類が乗って890円!コスパ最高!」
などのように「割安感がある」という意味で用いられることが多いかと思います。
しかし、この状態がコスパが最高によいと言いきれるのかどうか?割安感はもちろん魅力的ですが、コスト(費用)を安く抑えられた満足感は案外一時的なもので、もっと安いのはないかしら、というあくなき欲望があとに続きます。
対して、金額自体はちょっと高いけれど、丁寧に提供された良質な商品・サービスを購入した時。「良い買い物をしたな」という晴れやかな余韻はしばらく残り、場合によっては生きる糧になったりもします。
販売側からすると、お客さまにそのように実感いただける商品・サービスを提供するのは非常にたいへんです。安くしてしまうほうが気持ちは楽。
それでも、良質な商品・サービスの開発研究の手をやめない方々がいます。当社のお客さま方も皆さんそうです。あまりに険しい道のりなので、時々、そこまでやらなくてもいいかもしれません、このへんが落としどころかもしれません、とお声をかけるのですが、ピシッと突っぱねられます(とか言いつつ、ここまで来たら究極までやりましょう、と鬼のようなお声もかけてしまうのは内緒)。
事業を運営するというのはそういうことなのかもしれません。かく言う私も「社労士の関与先は零細~中小企業がメインなのだから、従業員のいないひとり事業主を対象にしていたらだめだよ」とこれまで何十回もアドバイスいただきましたがまったく言うことを聞かず、温かい気持ちで進言くださった皆さまにはたいへん失礼いたしました。
ものの裏側まで明らかになってきた昨今では、難しい商品・サービスへの挑戦そのものに価値を見出だす方が増えています。コスパの定義が書き換えられつつあると言えるのかもしれません。