棚卸には在庫金額を把握する目的があります。ただ、数を数えても単価が不明だと金額は計算できません。仕入時期によって単価が異なることはよくありますから、いつ仕入れたものを在庫と見なしどのように計算するかを事前に決めておくことになっています。
先日よりお届けしている「棚卸の基本シリーズ」、今回は棚卸資産の評価方法についてお伝えします。前回は、月末在庫を数えて売上原価を計算するところまでお伝えしました。
棚卸の基本「棚卸とは?売上原価と在庫の話」
棚卸の基本「売上原価と在庫の関係」
しかし、今回のように仕入時期によって単価が異なる場合、数えた在庫がいつの仕入分なのか分からなくなることがよくあります。また、区別がついたとしても量が多い場合などひとつひとつ計算するのは煩雑です。このため、「在庫はこの時に仕入れたものと見なして計算する」というルールをあらかじめ決めておくことになっています。
ルールには以下のような種類があります。
1. 個別法
実際のものの動きに応じて計算します。
しかし今回のようにそれが分からなくなってしまうものには向きません。
2. 先入先出法
先に仕入れたものから売れていくと見なして計算します。
最後に仕入れた数より在庫のほうが多ければ、最後から2番目に仕入れたもの、3番目に仕入れたもの…とさかのぼっていきます。
3. 総平均法
仕入れたもののぜんぶを足して割って、平均した単価を使いますよ、という方法です。
計算期間が終わってから計算するので期間中は在庫金額が分かりません。
5. 移動平均法
4.は期中には在庫金額が分からないのに対し、これは仕入の都度平均値を更新するので、いつでも計算できます。
しかし計算方法はかなり複雑に…!
5. 最終仕入原価法
最後に仕入れたものが残っているものと見なした計算方法です。
2.の先入先出法に似ていますが、採用される単価は最後の仕入単価1種類のみ。
6. 売価還元法
売価=販売価格に期中の平均原価率をかけて在庫の金額を出す方法です。
商品に値札が貼られ売価で管理します。百貨店などでよく用いられる方法です。
ご存知の方法がおありでしたでしょうか?はじめてご覧の方には、たくさん種類があるんだね、と胸にとどめていただければ幸いです。
ところで、八百屋さんでは何やらお母さんが…

ケーキを売るだって…?
お母さんの突然の提案に戸惑うお父さん。
次回に続きます。